李賀の詩集をつらつら読んでたら、なんか成長して剣豪になった金吾のテーマじゃないかと思われるような詩を見つけた。
基本的に、李賀の詩は、沈鬱、屈託、幻視が縒り合わさった黒炎のようなものが多いのだが、この詩には、青雲の志を抱いた青年が、野心に燃えて闘いに臨もうとしているような溌剌とした勢いを感じる。ちょっと意外である。
ちなみに、訳は、かなり茶屋の意訳がこもってます(笑)
走馬引
李賀
我有辞郷剣 我に 郷を辞する剣あり
玉鋒堪截雲 玉鋒 雲を截るにたえたり
襄陽走馬客 襄陽 馬を走らすの客
意気自生春 意気 自ずから春を生ず
朝嫌剣花浄 朝には嫌う剣花の浄なるを
暮嫌剣光冷 暮には嫌う剣光の冷なるを
能持剣向人 能く剣を持して人に向う
不解持照身 解せず 持して身を照らすことを
俺には、故郷に別れをつげるときに携えてきた剣がある
その剣の白玉のような鋒先は、天の浮雲だってきることができる
俺の気概は、襄陽に馬を走らせる勇者のように、春の気のように揚揚と盛り上がっている
朝となく暮れとなく、この剣が血で汚れ、血で熱くなっていることばかり考えているんだ
俺は、この剣で相手に立ち向かっていくことは心得ているけど
この剣を光らせて、だてに身の飾りモノにするなんてことにはキョーミない
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