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誕生寺山門
誕生寺山門

誕生寺

 すでに多くの方が書かれていることだが、「つどい」設定によると、土井先生のモデルは法然上人の生きざまなのだそうである。

 法然上人といえば、浄土宗の開祖といわれていて、ひろく衆生を救済するために救済のハードルを下げた教えを広げた人物といった程度のことしか知らなかったが、改めていくつか本を読んだりしてみたところ、いくつか激しく妄想をかきたてられることが判明した。

・幼少より聡明

・実家は美作の横領使(地方の治安維持を担う役職。当時は土豪を任命することが多かったらしい)

・9歳のときに、実家が焼討ちに遭い、両親を失う

 梅原猛などは、その論理の明晰性から法然上人とデカルトを比較したい、と書いているが、なんとなく、聡明で情が深いが、芯が強く、内面に深い諦念をもった人物像が浮かび上がる。特にアニメでは気のいい優しいお兄さんのような先生ぶりだが、その裏側にこのような人間性を秘めている人だったら…と考えるだけで、妄想がバーストしてしまいそうになる。

 

 原作では、土井先生の出身地は摂津の福原(現在の神戸市)となっているが、法然上人の出身地は美作(現在の岡山県北部)である。そして、その生誕の地には、誕生寺というお寺が現在もある。ちなみに誕生寺は、法然上人の弟子で東国の武将である熊谷直実が建立したのだそうである。

 

 岡山駅からJR津山線に乗る。そのものズバリ誕生寺という駅で降りる。門前町というよりごく普通の小さな集落といった風情の街並みを抜け、JRの線路をくぐると、緩やかな坂道のまっすぐな参道が続いている。

 浄土宗総本山の知恩院のような大伽藍が展開されているわけではない。山懐に抱かれた小さな寺といった風情である。本堂には法然上人や両親の像が安置されている。奥の建物には、絵巻物や手紙などが展示されている。

 だが、もっとも法然上人の息吹を感じたとすれば、本堂の裏の庭である。それは庭というより、裏山の延長であって、多くの杉が生えている合間に池やら灯籠が配置されているような庭となっていて、折から降りだした雨のなか、昔と変わらない山の気が漂っているように感じられた。そして、幼かった頃の法然上人も、土井先生も、縁側に座り込んで、降り続く雨を飽かず眺めていたように思えたのである。

 

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聖地巡礼その2(1)

 

 

性懲りもなく聖地巡礼に行ってきた。今回も、春日さんにお付き合いいただいた。春日さん、ありがとうございました。

 

JR尼崎駅で春日さんと落ち合う。昼過ぎなので、普通の巡礼であればさっそく歩き始めるところだろうが、二人とも昼食を済ませていなかったことが判明。まずはCOCOE潮江内のフードコートで昼食にする。食べながら、地図を見つつどこに行きましょうかと相談する。どこまでも無計画な二人である。とりあえず久々知から三反田まで歩いて、それから先は改めて考えることにした。

 

バスに乗って久々知に向かう。バス停からほどなく久々知橋発見。その先、名神高速とクロスするところは、久々知交差点である。久々知には前にも来たことがあるという春日さんが、久々知神社にも行ってみましょうかと提案する。それは行くしかないでしょう! ということで地図検索で探したところ、久々知交差点からはやや離れていることが判明した。バスの路線もあるにはあるのだが、一時間に2本でけっこう待たされるということで、久々知神社の訪問は断念することにした。(尼崎の巡礼では、常にバスの本数の制約を受けることになる)

 

久々知橋から川に沿って西に向かうと尾浜である。川沿いに尾浜公園がある。公園でピクニックをしている人々がいる。天気もいいし、たしかにピクニック日和である。というか、歩くにはちと暑い。

公園から数分歩くと、川の合流地点に出る。大きな道が二つの川をまたいでいて、それぞれ尾浜橋と尾浜大橋とある。それほど大きさに違いがあるかは私には判別できなかった。

 

尾浜大橋を渡って少し歩くと、ファミ●ーマート三反田町店を発見。このあたり、忍たま地名が近距離の間に隣接しているので、きわめて効率的な巡礼が可能である。

 

無計画な巡礼とは言いつつも、実は今回の巡礼に当たり、私は先達の巡礼記にいくつか目を通してきた。その中で、三反田にある三反田公園はg●●glemapでも出てこない不運な公園とあったのが気になっていた。というわけで、手にした地図で、公園らしいものを探す。と、立花南小学校の隣に、それらしいものを発見。行ってみることにする。

 

結論から言うと、三反田公園は至ってあっさり見つかった。それなりに広い公園で、地元の子どもたちが数人遊んでいる、平和な公園だった。よかったね、数馬(←なんのこっちゃ)

聖地巡礼その2(2)

さて、三反田公園のある三反田町だが、公園に隣接するのが立花南小学校のように、地図を見ると地名は三反田でありながら立花体育館とか立花南保育所とか、仙様に浸食されまくっている、やはり不運の影が色濃い町だったりもする。やはり強いキャラが隣接していると、相対的に影が薄くなってしまうのだろうか。

 

というわけで、三反田の隣は立花である。三反田公園で春日さんと地図を見ながら検討した結果、いきなり時友まで行ってみようということになったのだ。そして、時友まで行けるバスが立花駅を出発するのは15分後。何となく急げば間に合うんじゃね? と思って駅に向かう。バス乗り場についたのはきっかり15分後。

 

実は15分後というのは平日時刻で、休日はもっと時間に余裕があったことがバス停の時刻表で判明したが、結果オーライである。それより、仙様からしろべーまで乗車時間約30分とはこれいかに? これだけ乗っても均一運賃200円という尼崎市バスの太っ腹ぶりに感心すべきか、尼崎市域の端倪すべからざる広さに感心すべきかよく分からないがとりあえず感心しつつバスに乗る。

 

これだけの時間を乗っていても無為に過ごさせないのが尼崎の聖地たる所以である。途中、水堂先生(水堂町)とさくべ(富松城址)を経由するのだ。というか、前回富松城址を訪れたときにはバスの時間が合わなくて歩いたそのバスに、今まさに乗っているのだ。

 

時友バス停で降りる。このあたりは尼崎市バスの路線図でも西北端に当たる。そして景色は…食満そっくりである。

バス停そのものが、山陽新幹線の高架に沿った道路にある。そして周辺は住宅と畑が交錯した郊外の風景である。繁華街があるとはハナから期待していなかったが、予想にたがわぬ散文的な風景である。だがしかし、バス停のすぐそばに時友神社を発見!

 

時友神社は、由緒記によると奈良時代にさかのぼる歴史を持った神社であるらしい。時々目の前の高架を新幹線が通過する以外は実に静謐な境内である。ちなみに時友という町名は存在しない。このあたり、住所表示は武庫之荘8丁目ないし9丁目である。しろべはカワイイが、遠いわ町名にはないわで、巡礼するにはハードル高めのエリアである。

 

帰りのバスに乗って、武庫之荘駅の一つ手前で降りる。これから一平エリアに向かう。つぶらな瞳の一平だが、数馬と同じ運命の影を背負っているのか、町内に仙様が横溢している。上ノ島町のど真ん中には立花中学校があるのだ。仙様おそるべし。

 

ここでも公園を探して歩き回る。候補は二つ。うち一つは件の立花中学校の隣接地なのだが、こちらは上ノ島の名はついていなかった。町内の案内図を見ると、もうひとつは上ノ島西公園というらしい。これはぜひ到達しなければならない。

 

上ノ島町は時友あたりと違い、住宅密集地である。それも古くからの住宅地らしく、狭い道が交錯していて、今は一平の公園を目指してずんずか歩いているが、そのあと元の道まで戻れるのかよ、と思うような街並みである。

ふいに、家並みの間に公園らしい木立が見えた。あれだ! ついに一平の公園発見! と思って入り口がありそうな道に向かうが、そこに入り口はなかった。では別の場所か、とぐるぐる住宅地を歩きながら公園に至る道を探す。と、「この先行き止まり」という看板のある路地の奥に、公園らしい木立が見えるではないか。それこそがまさに探していた上ノ島西公園だった!

 

小さな公園である。ちょっとした遊具と広場があるだけ。しかも公園へのアクセスは行き止まりの路地一本。おまけに周辺は細くて入り組んだ路地の住宅密集地である。これは聖地でも到達困難度では最上級レベルであろう。というか、よく辿り着いたものである。きっと愛とか妄想とかその他もろもろの情念に導かれたのだろう。

 

上ノ島のバス停に出る。ここから本日の最終目的地、春日さんが見つけてくれた焼き鳥屋に向かう。その名も地鶏一番 小平太! しかもアドレスは七松町である。なんということか、現実と妄想がシンクロしているような妙な気分にさせられる。リアルでこんなことが存在してもいいの? と思いつつ、店に入るとそこにはいきなり六ろのお二人を描いた巻物やら小平太を描いた色紙たちやらが壁を埋めている。そしてお店の人は当然のように入門票(だったっけ?)とスケッチブックと色鉛筆を置くのだった。

 

喜三太を上回るマニアフレンドリーぶりに魂が抜ける思いをしたが、当然ながら焼き鳥をオーダーする。このお店では焼肉屋のように客席で自分で焼いて食するスタイルである。全般的にうまかったが、あそこまでやわらかく臭みのないレバーは初めてである。あのレバー食べに再訪してもいいくらいである。

 

さて、お店の人は小平太を描くなら色紙もありますよ、とありがたいお言葉をかけてくれるのだが、春日さんは一はクラスタの方だし、私はそもそも描けない人なので色紙は辞退する。スケッチブックに春日さんがさらさらと一はメンバーを描いていくのを驚嘆しつつ眺める。30分かそこらで下書きからペン入れまで終わらせてしまった。というわけで、春日さんの一はイラストは小平太の№4のスケッチブックにあるので、訪れた向きはぜひチェックすべし。

 

相変わらず無駄に長くかつウザい巡礼記だったが、今回もお付き合いいただいた春日さん、お疲れさまでした&ありがとうございました!

 

 

本日の巡礼地

潮江→久々知→尾浜→三反田→立花→水堂(バスで通過)→富松(バスで通過)→時友→上ノ島→七松(小平太)

 

半日で10箇所! うむ、疲れるわけである。