けまちわるい

子どもがいるわけでもない私にはかかわりの薄い話題なのだが、昨日の日経の霞ヶ関文学に言及したコラムを見て、ひさしぶりにけまちわるいものを思い出した。

 

少子化対策のひとつに、就業を希望する母親への支援策としての保育施設の拡充がある。そこはまさに厚生労働省と文部科学省の権限がクロスするフィールドである。いちばん分かりやすいのが、幼稚園(文部科学省所管)と保育園(厚生労働省所管)。就学前の子どもを預かる場としては同じようなものだが、学校教育施設か社会福祉施設かで、まるきり別物扱いされてきた。

 

以前はタテ割り行政と批判されつつも、分かりやすく角突きあっていたのだが、政治からは効率的な運用を求められるようになって、なにかと「連携」を言い出すようになっている。そこで登場したのが、日経のコラムに登場した「認定子ども園」(2006年~)である。連携推進室なるものを設置までしているのだが、ちっとも整備がすすまない。運営形態が4類型に分かれる上に、所管する法律や資格、必要な会計処理は分かれたままで、つい最近まで、補助金の請求手続きも厚労省と文科省それぞれに行わなければならないなど、要は別々の事業に、同じ事業に見えるようなコーティングをしているだけなのである。

 

両省は、これを幼保一体化という。コラムで指摘しているように、政治は幼保一元化を求めている。一文字違うだけだが、両者は根本的に異なる。一元化するなら、就学前児童の保育に関する権限を両省から切り離すか、どちらかに寄せるかして、制度の運営元を一つにすることにつながるが、一体化ということであれば、権限も予算も両省が別々に握ったまま、一体として運営していけばいいだけの話である。

 

それでも、表向きは一体として仲良くやらなければならないし、少しは使い勝手もよくしないと、強引に一元化させられかねないから、運用の改善は図っているようである。

http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/06kodomoen/pdf/sh-2.pdf

 

だけど、要は先生に「仲良くしなさい」といわれて「ハーイ!」と肩組んでいい返事をしつつ、テーブルの下で足を蹴りあっている子どものようなものであって、両省が連名の資料や通知の発出で連携を喧伝すればするほど、面従腹背的なけまちわるさが増して行くのである。

 

もうひとつ、けまちわるいものを見つけた。放課後子どもプラン(2007年~)の資料である。こちらは、対象が就学児童である。

http://www.houkago-plan.go.jp/document/img/cost.pdf

こっちは、認定子ども園より後発のクセに、より「一体化」度が薄い。そもそも両省によって名称まで違うのってどうなんだ。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kodomo/hoiku/gakudou_jidoukan/kodomo_plan/index.html

 

 

で、どっちが利用者にとって使いやすいものなのか。饒舌に連携を強調する両省をけまちわるいと感じるのは私だけかもしれないからいいとして、けまちわるくてもいいから、利用者のニーズに合致しているかを検証していただきたいものである。その先に、一体化か一元化かの判断が見えてくることであろう。