一服一銭

出光美術館で茶の展示をやっているので行ってきた。

 

茶といっても、茶道云々というよりは、日本人が茶をどのような「場」でたのしんだか、というテーマなので、茶碗やら茶壷やらがずらずらりと並んでいるわけではなく、むしろそうした茶道具は少数でしかない。

書画や花生、手付鉢、煎茶道の世界では硯や筆洗のような文房具までもが、お茶の世界を構成する要素として取り込まれ、観賞の対象となっていくところが興味深い。その一方で、茶の湯が完成されていくプロセスやその要因については端折っているので、無心にきれいなものを見たい、という向きに応える展示だった。

 

学芸員によるギャラリートークがあったので、ついでに煎茶と抹茶はどちらが古いのか聴いてみた。何となく抹茶の方が古いのかな、という印象はあったのだが、学芸員氏の答えは、煎茶の方が古い、とのことだった。ということは、忍たまでもよくお茶(お抹茶じゃないほう)を飲むシーンが出てくるが、あれはあながち間違いではないということなのだろう。もっとも、当時のお茶は今で言う煎茶というより、煮出して飲む番茶のような飲み方だったという。なんか、とても勉強になったわ。

ついでに言うと、学芸員氏にそんな素人じみたことを訊いてたのは、私の耳に届く範囲では茶屋くらいなもので、あとの紳士淑女方は「あれはなかなか柿右衛門にはみえないところが貴重ですよね」とか「牧谿(もっけい)が見られると思って来たのに、残念」とか、なんかとってもスノビッシュな会話を展開されていたんだZE☆

 

一服一銭に関するパネル展示もあった。当然、46巻の安藤先生を思い出してしまったのは、あの会場の中でも、私くらい…だったんだろうな、きっとw

ていうか、阿国歌舞伎図屏風に登場する一服一銭は、46巻のモデルかと思ったくらいそっくりだった。

 

http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html